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【エッセイ】秋の風は夏にすこし浮ついた気持ちを落ち着かせてくれる

9月になると急に、落ち着いた気持ちになることがある。
まだ少しあたたかい吹く風の中に1本の冷たい風の線を感じるからなのか、それとも空の色がどこか夏とは違うからなのか。
季節が夏から秋に傾きかけるころ、この不思議な差異は私たち人間の気持ちにも変化をもたらす。
これまで無我夢中で取り組んできたことが途端に興味なく思えてきたり、正しいと思っていたことがふと違うと思えてきたり。
そんなふうに自分の心の中に違和感が生じるのも、いつもこの季節であるように感じる。

BBQ、キャンプ、友人との約束、夜中の暴食、盛り上がりたいという気持ち。
歩かなくても先へ連れていく動く歩道みたいに、夏のそれらは私たちを何も考えずとも先へ先へと進ませる。
でも自分で歩いていないからこそ、行き着いた先に違和感を感じるのは当然といえば当然だ。
だから季節がちょうど夏から秋へと変わるとき、自分が今いる場所が自分らしい場所でないことに気づいてしまうのだ。

季節にはそれぞれの動く歩道がついていて、変わり目には乗り換えなければいけない。
その違和感に気が付かずにそれまでの季節専用動く歩道に居続けてしまうと、やがてその歩道は動きを止めて休みに入ってしまうから、
自分だけがそこに取り残されてしまうことになる。
だから変わり目の違和感を感じている間に次の動く歩道をまた選んで飛び移る必要がある。この作業は実に疲れる。
違和感を感じるということ自体、我々人間にとってはストレス要因だ。
でも違和感を感じることができた自分は正常なセンサーが働いていると感じてみよう。
自分がもっともっと先へ進むための次なるステージへ向かうタイミングに自分で気づけたことを褒めよう。

秋の風は夏にすこし浮ついた気持ちを落ち着けてくれる作用がある。
それは今いる自分の位置を確認できる絶好のチャンスであり、違和感を感じているのであれば新しい自分のステージが現れつつある証拠である。
自分の今ある状況に違和感を感じるとき、それは確実に自分が最も成長するときだ。
流れに身を任せてある程度進んだら、自分の気持ちと向き合う時間を持つことは大切だ。
秋はそれをさせてくれる。

KATO